「うなぎと梅干し」「天ぷらとスイカ」。昔から言い伝えられている「合食禁(がっしょくきん)」と呼ばれる食べ合わせの禁忌。しかし、これらの中には現代科学の視点で見ると一概に悪いとは言えないもの、あるいは単なる迷信であるものも少なくありません。
一方で、栄養学や化学的な視点から見ると、「実は避けたほうがよい組み合わせ」というものが確かに存在します。せっかくの栄養素が無駄になってしまったり、消化不良の原因になったり。今回は、そんな意外に知られていない科学的に相性の悪い食べ合わせをご紹介します。
1. トマト(キュウリ)× 酵素を含む野菜
夏野菜の定番であるトマトとキュウリ。サラダで一緒に食べることも多いですが、実は注意が必要です。
キュウリ(およびニンジンやカボチャ)には、「アスコルビナーゼ」という酵素が含まれています。この酵素には、ビタミンCを破壊する働きがあります。つまり、トマトや他の野菜に含まれるせっかくのビタミンCが、キュウリと一緒に食べることで失われてしまう可能性があるのです。
対策: お酢や柑橘類の果汁をかけましょう(ドレッシング等)。アスコルビナーゼは酸に弱いため、これらと一緒に摂取することでその働きを抑えることができます。
2. ほうれん草 × ベーコン
居酒屋や洋食の定番メニューですが、これも少し注意したい組み合わせです。
ベーコンなどの加工肉には、発色剤として「亜硝酸ナトリウム」が使われていることが多いです。一方、ほうれん草には「硝酸」が含まれており、これが体内で亜硝酸に変化します。これらが反応すると、「ニトロソアミン」という発がん性物質が生成されるリスクが指摘されています。
また、ベーコンに含まれるリン酸塩は、ほうれん草の鉄分やカルシウムの吸収を阻害してしまいます。
対策: ベーコンを下茹ですることで添加物を減らす、あるいはビタミンCを豊富に含む食材(レモンなど)を一緒に摂ることで、ニトロソアミンの生成を抑制できると言われています。
3. シラス(小魚) × 大根
和食の定番「シラスおろし」。さっぱりして美味しいですが、栄養面では少しもったいないことになっています。
シラスに含まれるアミノ酸の一種「リジン」は、体の組織を作るために不可欠な必須アミノ酸です。しかし、大根にはリジンを阻害する抗体が含まれているため、一緒に食べるとリジンの吸収が妨げられてしまうのです。
対策: こちらも「お酢」が救世主です。お酢をかけることで、大根に含まれる阻害物質の働きを弱めることができます。
4. 貧血気味の人は注意!鉄分 × タンニン
鉄分不足を補うためにレバーやひじきを食べた後、すぐに濃い緑茶やコーヒーを飲んでいませんか?
お茶やコーヒーに含まれる苦味成分「タンニン」は、鉄と結合して「タンニン鉄」という水に溶けにくい物質に変化します。これにより、腸での鉄分の吸収が妨げられてしまいます。特に、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」はタンニンの影響を受けやすいとされています。
対策: 食事中や食後すぐは、麦茶やほうじ茶などタンニンの少ない飲み物にするか、少し時間を空けて(1時間程度)から飲むようにしましょう。
番外編:薬との飲み合わせ
食品同士だけでなく、薬と食品の組み合わせにも命に関わるほど重要なものがあります。
- グレープフルーツ × 高血圧の薬(一部)
グレープフルーツに含まれる成分が薬の分解を妨げ、薬の効果が強く出すぎてしまい、血圧が下がりすぎる危険があります。 - 納豆 × ワルファリン(血液サラサラの薬)
納豆に豊富なビタミンKは血液を固める働きがあるため、血液を固まりにくくする薬(ワルファリン)の効果を打ち消してしまいます。
いかがでしたか?「ダメ」と言われると不安になりますが、多くは「調理法」や「食べるタイミング」で解決できるものです。神経質になりすぎず、少しの工夫でより効率よく栄養を摂取して、美と健康につなげていきましょう。